思い出がなくて良かった。

あったら壊して回りたい。

大好きで。

愛しくて。

こんなにも、私の心の中に居たなんて。

ーーバンッ

勢い良く開けられたドア。



「出てって!馬鹿柊っ゛!」



兄妹でも見られたくない情けない涙はある。

ドアの所に立ちっぱなしで、ウザくも感じる。



「兄貴にんな口を聞くのか?」



「ちなみに俺、歩斗君の後ろなんだけど(笑)」



柊お兄ちゃんの笑い声を聞いてると、歩斗にギュッと抱き締められた。



「あんな事、言わせてごめん…」



弱々しい声を聞くと、泣けちゃうよ…。