好きと言えない。―悪魔と恋―【完】

奥さんである人でも、“詐欺師”って思うんだ。

…言わずにおいたのに。

ティッシュで鼻水を拭い、ゴミ箱に捨てようと立ち上がると、腕を掴まれた。



「え…?えッ!?」



「いってらっしゃーい!」



「ちょっ、ちょっとー?;;」



意味がわからないまま、車に乗せられた。

抜け道を走ってるのか、暗い道が続く。

けど、方角的にはわかった。



「木賀さんのお店に行くんですか…?」



「そっ。月ちゃんは兄貴の彼女役になったんだし、俺はひまわりちゃんの彼氏役になる」



…ん…?

恩着せがましい言い方をしませんでした?