好きと言えない。―悪魔と恋―【完】

「カッコいい…」



「後であげるから。だから、何があったか話して」



…悪魔の弟も、やはり悪魔だった。

優しいのは口調だけ。

詐欺師に向いてそう。

けど、素直に話した。

何があったか。

私は何も言えなかった事。

全て。



「そりゃ、兄貴だって怒るって。“彼氏がいますから”的な一言は言っても良かったと思う」



「ですよね…っ…」



唇を噛み、涙を堪えた。



「まだ、そこの店って開いてるよね?行くしかない」



「え…?」



「まぁ、任せて」



遥斗さんは嵯峨さんに何か話す。

嵯峨さんは「詐欺師…いや、策士君臨!」と、にこやかに笑ってる。