「仕事中に妬くなよ、馬鹿」



不機嫌な私の手を握った歩斗。

扉が開いても、車の停まった所まで、繋いでくれる。

それだけで、機嫌が戻る。



「お前さ…単純だろ」



「いえ。私は数学は最低でも“真面目”だと言われて来ました」



「へぇ」



…流された。



「でも、単純と真面目は違うと思うけど」



…う゛…;;

確かに…;;

悪魔に言われてしまった。

歩斗は「やっぱ馬鹿だな」と言い、車を走らせた。

“馬鹿”を連呼しやがって!

どんな教育されて来たんだか。

こんな人に惚れる人なんて居るの?

きっと、私だけだ。

本性を知ったら、絶対に嫌うだろう。