「ネクタイから手を離せ」



指輪を査定しようとしてみた私に、苛立った声で言う歩斗。

「ごめんなさい」と手を話すと、廊下から鋭い視線が多数、向けられていた。



「…嵯峨さん?私、殺されますか?」



殺意をビンビン感じるんです。



「大丈夫よ。私より可愛いんだもの」



…そんな筈はないです;;

厭味にしか聞こえません。

「あーあ」と、デスクにつっぷした私の耳に、チャイムが届く。

…解放される。

やっと。

やっとだ。



「お前、ネイルサロンの見回り来るか?」



「…行きます。ネイル検定1級の私が行かないでどうしますか」



「やっぱ俺だけ行く」



「いやいや、行きますから!」



悪魔よ。

意味不明な発言は控えて下さい。