「頑張った。偉いな、ひま」



「ママですから!」



赤ちゃんを預け、体が落ち着くまで2人で分娩室で待機。

分娩台の脇に屈んだ歩斗が、頭を撫でてくれる。



「ある―…」



「ありがとう、ひまわり…」



歩斗は一生で最後かも知れない涙を流す。

私は歩斗の涙を拭い、手を握った。



「私も、ありがとう。歩斗との赤ちゃんが産めて、良かった…」



あれだけの痛みも、今では苦でなく、また産みたいとすら思える。

これから新たに始まる生活に、不安がないと言えば嘘だけど、希望の方が溢れてる。

歩斗が私の隣に、居てくれるから――…。



       -Fin-