好きと言えない。―悪魔と恋―【完】

「そう言えばさぁ」



「ん?」



「ひまわり、ネイルしてないよね?」



枝玲奈に訊かれて、私はファイルを持ち変えながら、「あー、うん」と答えた。



「しばらくは仕事も休むし、子供も生まれるし、外しちゃった。いざとなればチップもあるし、赤ちゃんの顔とか傷付けたら嫌だから」



最初は違和感があった。

拳は普通に握れるし、爪が軽いし。

けど、次第に慣れて来て、枝玲奈に訊かれるまで忘れてたほど。

赤ちゃんの存在は、私の中では、思ってたよりかなり大きいみたいだ。



「生まれてなくても、心はもうママなんだ」



枝玲奈は私の顔を見て、優しく微笑んだ。