好きと言えない。―悪魔と恋―【完】

痛み止めにより、引いてた筈の眠気がまた押し寄せて来る。



「あの…」



「呼んだ?」



「吐く…」



半分、目が閉じかかった中、嘔吐する私に、「しぶとい子」と、厭味を言うデブなお母さん。

介助してくれた看護師さんの細さが引き立つ。

脚なんて、アスパラと大根じゃないかと思う。



「ひま?」



診察室に入って来た歩斗の声は、更に私を寝させようとする。



「抱っこで…帰る…」



ダルいとか、眠いからではなく。

夢に足を踏み入れて居て、お兄ちゃんたちと遊んでて、抱っこをせがんでた頃の自分にダブって居た。