好きと言えない。―悪魔と恋―【完】

『はい、葛西です』



「…お兄ちゃ、ん…?」



痛みに変わり、私は手に汗を握りながら、電話に出た伊吹お兄ちゃんに、状況を伝えた。



『歩斗は!』



「わからない…っ…。お願い……赤ちゃん、助けて…!;;」



一度は流産をしかけて、やっとここまで育ってくれた、私たちの赤ちゃん。

私の不注意で、また赤ちゃんに苦しい思いをさせてるなんて。

母親として、失格。



『今、柊が親父と母さん連れて出たから!もう少し耐えろ!!』



「わ…、わかった…っ」



救急車の方が速い気もするけど、1人だと心細い。