好きと言えない。―悪魔と恋―【完】

「“ワゴンRの座席が、何故か私のせいで沈んでるらしいから、修理して請求して”って、電話があった」



「自覚ないんだ」



「お前もな」



…は?

いきなり、何の話?

私は首を傾げながら、歩斗から離れて、チェストから車の書類を出した。

お母さんから、車検書とか貰って来たままで、修理もどこへ出せば良いかわからないんだ。

禿げた父親が新しい車を買ったから、ワゴンRを貰ったんだけど、最初から自分で買えば良かったかも。



「チャイルドシートを着けても余裕な車、買って下さい」



「自分で買え」



…貴方の貯金額で何を言う!