「妊娠はしてます…。でも、先輩の幸せを、私と子供で邪魔は出来ません。だから気にしないで、彼女と幸せになって下さい。
ちなみに養育費もいりません。今、会社に居るより稼げてて、お金には困ってないので」



可愛くない女だ。

私の中の悪魔が、偽善者の天使を言いくるめようとしてる。

“すがれよ”。

“抱き着けよ”って。



「“彼女”?」



「はい。遥斗さんから聞きましたよ。もしかして、2ヶ月前に会ってた女性ですか?」



「ひま、お前が言ってた“嘘”って」



「私は先輩…歩斗を信じてた」



今でも甦る。

悲しさ。

胸の痛みが。