「よく来てくださったぁ~、ここんとこ調子はいいんですが、ひとまず見てもらえんですかね」

農園主のなまりのきつい塩辛声が僕を迎えた。

そしてどこまでも続くサトイモ畑の中に。

彼女は立っていた。

「いつもこの時間になると、ああして、どこか遠くをみちょるような感じで、じっとかたまっちょる、わしのひい爺さんの代から働いてくれたけん、150年以上はたっちょる年代モンやから、もうそろそろお迎えが来ても仕方なかけどなぁ」

「暴れたり、不注意で物を壊してしまったりは?」

「そりゃなかけど、いつもああしてじっとたっちょるんだわ、お~いお~いミィ~ちゃぁ~~ん」

風に揺れる大きなサトイモの葉の中で。

ゆっくりとミィ~ちゃんが振り返った。