気づいたらオレはアイツの腕を掴んでいて、そこから離れようとはしなかった。



「おい桐沢妃菜」

「……なんや」

「オレはお前が好きだ」

「……アンタ冗談もほどほどにせえよ。あたしをからかうのがそんなにおもろいか」

「ふざけんな。そんなんじゃねぇよ。冗談で好きだって言うヤツなんかいねぇから」

「……ほんとにあたしのコト好きなんか、アンタ」

「ああ、ほんとは認めたくねぇけどな。……でもやっぱりお前が好きだ」

「……どうやら冗談やないみたいやな」

「だから言ったろ。オレは冗談がキライなんだ」

「……そか」

「なぁ、お前はどうなんだよ」