「……あたしだけじゃないよ。妃菜ちゃんを救えるのは」

「え??」

「……森橋くんもだよ」

「オレ??」

「うん。妃菜ちゃん表では森橋くんに冷たい態度取ってるけど、ほんとはすごく信用してるんだよ」

「……なんでオレ??オレはなにもしてねぇよ」

「妃菜ちゃんはね、向こうにいる頃からずっと男の子の友達なんていらないって言ってたの。……それはお兄さんを殺した時のあのひとたちの顔が忘れられなくて、思い出すだけで憎くなるってコトだよ」

「忘れられない……か」

「その時のあのひとの顔、笑ってたんだって。まるで死ぬ瞬間を待ちわびていたかのように、笑ってたんだって」