自分の両手を見ながら、マコトが言う。
その声はマコトより低く、太い。
マコトの体に入ったベルゼビュートが話している。
モンスターが、隙だらけのマコトの体を乗っ取ったベルゼビュートに、つるの攻撃を仕掛ける。
完全に隙をつき、ベルゼビュートは吹っ飛ぶはずだった。
が、ベルゼビュートはそのつるの上に立っていた。



「《ほお。動きやすいな。大分鍛えているようだ》」



ベルゼビュートは、満足そうに笑う。
しかし、その間もモンスターは絶えず攻撃を仕掛けているが、それを苦もなく避けていた。



「《邪魔だ。消えろ》」



ベルゼビュートがモンスターの方に手をかざし言うと、モンスターの体の周りに黒い影が取り巻く。
そして、完全にモンスターの体を包んだかと思った次の瞬間、ベルゼビュートが開いた手を閉じた。



──グシャ



という音が響いた。
モンスターは緑色の液体を流し、潰されていた。
原型をとどめていない。
セイラは恐怖でガクガクと震えている。



「《お前が神子だな》」



ベルゼビュートがセイラに近付く。
恐怖のあまり動けないセイラ。



「《ん? ……あぁ、仕方ない。主に体を返そう。……神子、忘れるな。主はお前のために私と契約したのだ》」



ベルゼビュートがそう言うと、マコトの体がガクッと崩れ落ちる。
顔をあげると、マコトに戻っているようだった。



「マコト? ……本当に、マコトなの?」