「セイラ」



少女がリョクに夢中になっていると、同行者の少年が声をかける。



「あ、ごめん。私、セイラと言います。こっちはマコト」



セイラがリョクから手を離し、自己紹介をする。



「あ、僕はミノリ。こいつはリョク」



セイラに続いてミノリも自己紹介をする。



「急いでるって言っていましたけど、やっぱり夜の森を一人では危ないですよ?」

「そうやね。僕は魔法の方が得意なんやけど、昼に使いすぎて、今は初級魔法も使えへん」



転がっている細身の剣を拾い、腰の鞘に納める。



「え? その大剣は?」



セイラは、ミノリの背にある大剣を見る。
ミノリは苦笑する。



「これは、……僕の幼馴染みの物なんやけど、今は使えんくて……」



少し表情を曇らせるミノリに、セイラは悪いことを聞いてしまったと思った。



「あ! でも、そいつが死んだとか、大病にかかって危ないとかやないから」



謝ろうとしているセイラに気付いて、ミノリが言う。
今までにも、何度か同じことがあった。



「そんなに急いで、どこに行こうとしていたんですか?」



マコトが火の準備を始め、小刀を出し、先ほど倒したモンスターを捌いていた。
今夜の食事となる。
セイラとミノリは近くの倒れた木に座り、話し始める。



「この先に、魔神ベルゼビュートが封印されとる神殿があるやろ? そこ行くねん」

「えっ!?」