村に戻ると、既に騒ぎになっていた。
先代の神子であるセイラの祖母が、魔神ベルゼビュートが『契約』という形で世に目覚めたと気付いたのだ。



「マコト、セイラ、村長の家に来なさい」



二人を出迎えたセイラの父が、苦しそうな顔をして言った。
二人は、素直に従う。
村を歩くと、村人がコソコソと話している。
その目は冷たい。
村長の家につき、扉を叩く。
扉が開くと、中には村長と村の有力者達、先代の神子であるセイラの祖母も集まっていた。



「中に入って、そこに座りなさい。セイラはこちらに」



セイラの祖母に言われた通り、皆がコの字に座っている真ん中にマコトが座り、セイラはその正面の、村長の隣に座っている祖母の隣に座った。



「呼ばれたわけは、分かっているな」



その中でも一番若い人物が、話を進める。
彼は、マコトとセイラの幼馴染みで、シルヴァという。



「はい」



マコトは素直に答える。
自分がどうなるかは、理解している。



「魔神と契約し、目覚めさせるなど、あってはならないことだ」



シルヴァは感情を押さえて言う。
他のその場にいる人達は黙っている。
セイラも、どうすることも出来ない。