煙草をくゆらしながらここに俺が縮こまっている間、三人が前を通り過ぎて行った。


一人は籠に西瓜を乗せた自転車を操っている女で、後の二人は坊主頭に麦藁帽子を乗せ、肩には虫かご、もう片手には虫網を持った小学生だった。



その何処にでもありふれた光景が、俺を郷愁と苛立ちを練り込んだ妙なるドロドロ引き摺り込み、窒息させる。




変化する必要もなくあるがままをを受け入れられているこの地と、変化すべき事を理解しつつも何も変わらない自分。


被害に富んだ自意識が苛む。