「杏里さんはいいのに~。大きなお腹抱えて、大変だろ?」



「いえ、お医者様には動くようにと指示されています」



「そうか~」



透真社長は栗原さんと同じ歳。

奥様の美古さんは私と同じ歳。


お互い、歳の差婚とあって共通点が多い。

私と洋貴さんには身寄りがないと透真社長に相談すれば、『ここに住め』と言ってくれて、同居を始めた。


仕事の上でも、都合がいいらしい。


部屋に入って、上着を脱ぎ、ネクタイを外す洋貴さん。



「今日、検診行ったんだろ?赤ちゃんの様子は?」


「ちゃんと産道に頭を向けて、赤ちゃんも出産準備してるみたいです」


「そうか~いつ生まれてもおかしくない。ちゃんとお前も心の準備しとけよ」


「はい」