先ほどよりも涙を零す千歳に思わず私も驚く。




千歳・・・・・・。




私は結局何にも出来ないんだ。
あの時千歳の手を温めるって確かに私が約束したのに、千歳が苦しんでいたことに何にも気づかないで、今千歳をこんな風にさせて。




「ち、とせ・・・ごめん、ごめんなさい・・・」




ごめん、気づかなくて。
本当にごめんなさい・・・・・・。




謝って千歳の苦しみが取れるわけじゃないけれど、私は謝らないと。




「優羽・・・」




そんな私をチラッと見たお兄ちゃんは、千歳の腕を掴んで、行くぞ、と歩き出した。




「時間がねえ、話は戻ってからだ」




そう呟いて、少し離れた場所につけてあった車に私と千歳を乗せて、行け
と運転手に言うと、車はゆっくりと走り出した。