「・・・っ・・・お前、いい加減にしろ!」




「・・・っ・・・千歳!」




私に抱きついていた千歳を力強く離したお兄ちゃんは、千歳の顔を一発殴った。




お兄ちゃんに殴られた千歳は倒れはしなかったけれど、よろける体をなんとか踏みとどまらせていた。




「甘えてんじゃねえよ!」




「・・・・・・」




「仲間に心配かけてお前、自分が何してんのかわかってんのか!」




お兄ちゃんの怒声が飛ぶ中、千歳はそれまで俯けていた顔をゆっくりと上げた。




「・・・っ・・・」




お兄ちゃんが一瞬目を見開いたのが見なくてもわかった。




千歳は、瞳からたくさんの涙を零して泣いていた。