志村に同情しそうになると、聖が私の右足に手を置き、立ち上がろうとしたのを阻止して来た。

航は煙草を踏み消すと、志村に近付き、校庭の方を見ながら口を開いた。



「恋愛は自由。つまり、想うのも自由。けどな?翼らを困らせる事があれば、話は別だからな」



「…はい」



航がそう言うと、志村は俯きながら、私たちに振り返る事なく、真っ直ぐと駅の方向へと消えて行った。

私も瞬斗を起こし、みんなと途中まで一緒に帰る事にした。

沈黙のまま、みんなと別れて聖と家に帰る。

私の中にも、良心というモノがあったのか。

志村に対し、申し訳ないと思ってしまった。

けど、これで良かったんだ。

そう、思わないと。