「なぁ、これ瞬斗に届けに行ってくれへん?」



夕方、学校を早退し、ソファーで寛ぐ私に、聖が瞬斗のPRADAのキーケースを渡して来た。

私は「ヤダ」と返す。



「じゃあ、洗濯と掃除してくれるん?」



けど、交換条件を出され、私は渋々、立ち上がり、キーケースを持った。

財布と携帯だけを持ち、家を出る。

キーケースと一緒に渡された地図を手に、瞬斗の家へとぼとぼ歩く。

高層マンションの10階。

…えっらいとこ住んどるやな…。

私がマンションのエントランスに入ろうとした時、今朝、校門で会った瞬斗の彼女と遭遇した。



「待ちなさいよ」



すれ違おうとした時、私は腕を掴まれた。