「お前こそ、外に男でもできてんじゃねえの?」 普段、あまり言わない嫌みを言ったせいか大翔の言葉が少しだけ上擦いていて 思わず吹き出してしまった。 「バカじゃん?」 もう一度、鏡越しに見た彼はもう私を見てはいなくて 彼に嫌みの一つを言わせた優越感で込み上げる笑いを必死にこらえていた。 不器用なくせに私の粗探しでもしてるつもりなのかな? 自分が信用されてないからって、私の粗を探そうとしとも無意味なのに… バカみたい。と鼻で笑いながら家を出た足どりは実に軽やかだった。