ギュッと握りしめた拳。 ダメダメ。こんな事で怒ってたらこれから先が思いやられちゃう。 もう一度ゆっくり首を横に振って涙でぐちゃぐちゃの千歌の頬にキスをした。 「…ごめんね。 行ってきます!!」 「やだぁ!!ママぁぁ!!」 玄関のドアを閉めても聞こえてくる泣き声。 私が帰るまで千歌が泣いていたらと思うと、やりきれない気持ちで私まで涙が滲んでくる。 大翔はちゃんと千歌の面倒を見てくれるだろうか…? 余計な心配ばかり頭に浮かんで、今日の仕事は全然、手につかなかった。