突然、彼が話し始めたのはまだ彼が小学生の頃の夏休みの話しだった。
幼い頃から蝶々が好きで
夏休みの自由研究は珍しい蝶々を捕まえようと思ってた。
田舎の婆ちゃんちに遊びに行った時に
朝から晩まで虫とり網を片手に蝶々を探してたんだ。
三日間かかって集めた蝶々はどれも同じ種類で
けっこうガッカリしながら、最終日を迎えた夕暮れ。
今まで見た事のない綺麗な蝶々が俺の前をゆっくり、ふわふわ通り過ぎていって…
思わず網を振りかざして、
期待を一杯に網の中を覗いたけれど
あの蝶々の姿は無くて…
ガッカリした半面、いつかまた捕まえてやろうと思ってた。


