SWEET BUTTERFLY



「叫びすぎ…ってか最早、悲鳴だったよね。」


笑いをこらえる彼を涙目で睨みつける。


「ったく…酷いよね。

あれは私、もう二度と乗りたくない。」


「そうかなぁ?

俺は叫べてかなり楽しかったよ。」


「絶叫マニアなわけ?」


「いや…

あれに乗ってる間は何も考え無くていいし。」


「何を考え無くていいの?」


少し曇りがちな彼の表情を覗き込んだ私を


彼は今にも泣き出してしまいそうな悲しい目で見つめた。


「話しの続きはあれに乗ってからにしよ。」


彼が観覧車を指差した。


「観覧車は大好き。」


彼の表情の理由も考えずに、今度は上機嫌で歩きだす私に「ホント、分かりやすい人ですね」と可笑しそうに呟いた。