「あのさ…話しがあるんだ。」
「はい?」
おもむろに私の左手をとった彼。
「目を閉じて」
言われるままに目を閉じると
マスターの驚く声がした。
「目をあけて。」
言われるまま、ゆっくり目を開けると
私の左手の薬指に小さなダイヤが光っていた。
「えっ?…これ…」
「俺と結婚してくれないか?」
少しだけピンク色に染まった彼の頬。
ちゃんと付き合っていたわけでも無いのに突然のプロポーズ?
信じられずに、ただ目を丸くした私にさっきとは打って変わってニコやかな表情のマスターが私を見つめていた。
「ってか…本気?」
「冗談でこんな事するわけないじゃん。」
「これって夢?」
「現実。」
彼の悪戯な笑顔を見た瞬間に訪れた実感に
急ピッチで早くなる鼓動。
左手が震え出す。


