「君が?…どうやって?」
「私と付き合っちゃえばいいんです。」
私の言葉に驚いた彼が勢いよく身体を離して、さっきまで涙でぐちゃぐちゃだったその表情は驚きと困惑に満ちていた。
「無理に忘れられないなら形からでいいじゃないですか?」
「なっ…
君は何を考えてるんだ?
お互い何も知らないのに突然、付き合うなんて有り得ないだろ。」
「何も知らないわけじゃないです。
私は知ってますよ。
あなたは笑顔が素敵で、馴れた相手には何でも話せるけど実は人見知りで
熱があっても会社を休んだ事がないくらい真面目で…
数年ぶりにできた彼女と縁談の話しまでいったのにフられてしまった。」
この数年、ただ接客していたわけじゃない…。


