「お飲み物はいつものでよろしいですか?」
「ああ…お願い。」
いつになく元気の無い彼に、いつものブレンドコーヒーを渡す。
彼は口をつける事もしないでただ、黙って座ってるだけで
彼が今日は一体、なぜ店にきたのか分からずに
静かに過ぎてく時間の重たさが一秒ごとに空気を重たくさせた。
外は嵐のように雨が降っていて
雨の音だけしんみり響いているこの店内に
今の彼と二人きりは痛すぎる。
何度も何度も時計を確認して、ようやく時計の針が午後を指したので
私は逸る気持ちを隠せずに「閉店ですよ?」と彼に告げた。
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