ドシャッ…
遠くで鈍い音が聞こえて
何がなんだか分からない私は
彼のいなくなったベランダで今、そこにあった彼の背中を探していた。
「キャーッ!!!」
外で女性の叫ぶ声。
「は…る…と…?」
気が付いた時には裸足で駆け出していた。
「大翔?大翔?!大翔!!」
無我夢中だった。
どうやって階段を下りたのかさえも分からずに
マンションの裏庭の芝生の上に倒れてる彼を見つけた。
周りに誰がいるのかさえ分からない。
「大翔!大翔!!」
私の足の裏が石で傷ついて怪我をしている事さえ気がつかなかった。
「大翔っ!!!」
無我夢中で彼の頭を抱き抱えると
口から大量の血を吹かせていびつに変形した彼の輪郭が目に飛び込んで来た。


