SWEET BUTTERFLY



気が付いた時にはこの気持ちに罪悪感なんて無くなっていた。


ただ少し心苦しいのは…


壊れてる夫婦に気づかないで「パパ、ママ」と私達を呼ぶ千歌の事だけ…


本当だったら…千歌のために我慢するべきなのかもしれない。


でも、人には「限界」というものがある。


悲しいのは


私が…

大翔が…


親である以前に一人の人間だという事かもしれない。


何もかもを犠牲にして家庭を守れるほど


私も大翔も大人じゃなかったんだ…。



スーパーでゆっくり夕飯の買い物を済ませると


家に向かう足どりが気づかない間に重くなっていく。


「もう少しでこんな気持ちともお別れか…」


千歌が産まれる頃に中古だけど買ったマンションを見上げる。