***日向side***


爽やかな風が通る。
雲ひとつない青空。
透き通った青い海。
どこからか聞こえる三線の音と楽しそうな歌声。

ここは沖縄、石垣島。


今日輝が帰ってくるんだ…



「ひなたー!」

お母さんの声がして
海を見つめていた私ははっと
我に返った。


「輝くんもうじき着くらしいよー!」

「はーい!」


私は元気よく返事をし、
早足で港に向かった。


輝に会ったら何て言おうかな…

私は5歳の輝しか知らない。
輝、男前になったよね…


港に着いた私は
胸をはずませながら
海の先をずっと見ていた。


「…な!ひなー!」

船が見えてきた。
声がする。

「ひなー!」

小さな人影が手を振ってる。


輝だ!

昔もそうだった。
私の事をひなと呼ぶのは
輝しかいなかった。