「どした?まこ。顔青いよ?」



心配してくれる涼子に、話したいことが山ほどあった。


「ごめん…ちょっと寝不足で…ありがと、涼子!」



このわけのわからない心の中を整理するために誰かに話したかった。


でも、話すことができない状況。



隣には大嫌いな城山がいる。

濡れた髪が苦手だった。

妙にお洒落なシャツとネクタイも気持ちが悪かった。



「里中君、具合悪いのなら、保健室で休みなさい。」


そう言って、私の背中に手を回す。


突き飛ばしたいしたい衝動にかられたけど、なんとか我慢した。





その時、風のようにさわやかに神崎陸、登場!!



自転車のサドルに片足だけ乗っけて、髪が風に揺れる。



「おはよ。神崎陸!遅刻じゃなかったっけ?」



眠そうなかわいい顔を見たら、さっきまでのモヤモヤがどこかへ消えていた。



「お前が遅刻すんなって言うからちゃんと来たよ!」



顔だけじゃなく、言うこともかわいいんだ。




城山がいなければ…


もっと話したかったのに、城山の「早く行け!」の一言で神崎陸はふてくされてその場を離れた。