ドキドキドキ



好き。





「そ、そんなのもらわないからいいよ。本気の手紙なんて…」



緊張で、声が震えそうだった。



「じゃあ、俺からの手紙は?」





茶色い前髪を親指と人差し指でつまみながら…

初めて見せるかわいい顔で。





そんな思わせぶりなこと言うんだから…




「神崎陸のばか…」




冗談だってわかってるのに、私のドキドキはどんどん激しくなっていく。




神崎陸は、意味深な表情で、黙って私を見つめたままだった。





息が


できないよ。







その時、

『キーンコーンカーンコーン』




チャイムが鳴って、2人で廊下を走って、教室へ戻った。



もう少し話していたかったような、チャイムが鳴ってホッとしたような。





あの後、どんなことを言ってくれようとしたんだろう。


黙ったまま私を見つめてくれた神崎陸の顔、すごく真剣な表情だった。






ますます、好きになってくよ。



止められるわけない。


このドキドキが証明してるんだ、彼が好きだってこと。