「みんなで、笑ってたの?ノコノコ屋上まで行った私を…」


さっきまで泣いていたせいで、鼻声な私。


わざとらしく鼻をすすって、水道の水でまた顔を洗う。




「言い訳みたいだけど、俺なんも知らなかったんだ。龍之介に呼ばれて屋上行ったらお前が来て…」



本当??


ねぇ、それが本当だったら…

私はやっぱりあなたが好きです。





「うそ…」



消えそうな私の声を聞き逃さない神崎陸は、力強く言った。



「嘘じゃねーって!!本当だって。知ってたら、俺止めるよ、絶対!」



その言葉信じていいの?


あなたを許していいの?



本当はもう許してる。



もう、悲しい涙は嬉し涙に変わってるんだ。




「信じていいの?知らなかったって。じゃあ、龍之介君のいたずら?」




「まだ聞いてないからわかんねぇけど、龍之介じゃないと思う。話聞いて、ついてっただけだと思う。うちのクラスのヤツはお前にそんなことしねぇよ。」




神崎陸の声が好き。



高校生には思えない落ち着いた声。



低いのに、とても穏やかで温かい声。