「俺、これ以上…嘘、続けられない…」




抱きしめた陸の腕から、かすかに汗の冷たさが伝わる。




「…陸……?」



抱きしめていた腕の力が抜けた。


教室の後ろの黒板に書かれた文字を見つめながら、

私は倒れそうな程ドキドキしている自分を落ち着かせようとした。




「ごめん!!」



私から手を離した陸は、下を向き…

目を合わせないまま言った。




「今から保健室で待っててくれないかな…何時になるかわかんないけど、絶対行くから。俺が来るまで待ってて欲しい。」



その陸の表情が、大人っぽくて、とても、好きだと思った。




声も、

顔も…



今まで見たどの陸よりも、素敵で…



この瞬間もどんどん陸に惚れちゃってるよ。





「じゃ、また後で。」



陸はそう言って、廊下を駆けて行った。