ゴロゴロゴロ…

遠くの方で雷が鳴る音がする。

雨の匂いがするし、今日は多分、どしゃ降りだ。

「あら嫌だ、洗濯物!ちょっと失礼しますね。」

母は立ち上がると、慌てて二階のベランダへ取り込みに向かう。

残された僕達は、壁に掛けられた時計の針の音を黙って聞いていた。

最近、時間が経つのが早く感じる。

「ねぇ……。」

連れが僕の肩をチョイチョイ突くので、僕は「ん?」と耳を傾けた。

彼女は僕の耳元に口を寄せると……。










「もう、いい、よ。」

そう、囁いた。










【了】