まだギプスをしたままの右足。

松葉杖でいつも使っている杖の代わりをしてみようと試みたが、どうも勝手が違うし、歩行が困難なだけなので、結果二刀流の状態だ。

右手に松葉杖、左手に白い杖というのはまるで宮本武蔵みたいでカッコいい……とまでは思わないし、そんな余裕も無い。

やっとの思いで待ち合わせの場所である、公園に着いた。

幼い頃、通いつめた遊技場。

今と昔、その風景がどれ程変わったのか、僕には知る術が無い。

だが、この匂いは好きだ。

周りに植えられた木々と、頬を撫でる風。

夜の冷たい空気が心地良い。

ベンチを探し当てると、ゆっくり腰を下ろした。

遠い記憶。

空白の時間。

出会いと別れ。

今日で全てが繋がる気がした。