「それってどういう意味・・・?」


あたしが言うと振り向いてニッコリ笑った。


「やっぱり話しが出来ないとか、そばにいないって寂しいし耐えられないみたい」


「え?」


「ルウコに進路の話をしなかったから怒ってるだろうなって思ってたら気まずくなちゃったね、ごめん」


「違うよ!ごめんなさいって言うのはあたしの方だよ!」


タバコを上靴で消すと近づいてきてギュって抱きしめられた。

いつもの匂いじゃなくてタバコの匂いがする。


「進路を美容師にしたのはルウコのそばにずっといたいからなんだ。家で働けば何とでもなるし、親父にもそう説明して専門学校に行く事にしたんだよね」


「ソウちゃん・・・」


涙が出てきて肩に顔をうずめた。


「別に何の取り柄もなかったオレが唯一、自信が持てる事はルウコの事を支えていけるって事かな?これだけは自信あるし、胸はって言えるから」



心臓がギューって痛くなって、でもその痛みは嬉しくて、腕の中でしゃっくりが出るくらいに泣いてしまった。


あたしの唯一の取り柄も「ソウちゃんを想う気持ちは誰にも負けない」だから。



「学校離れても大丈夫?」


涙でボロボロのあたしの顔を覗き込んで聞いてきた。


「だ、大丈夫・・・」


頷いてまた大泣きしてしまった。