天空艇に戻ってきたジン。

シルファとホセが迎える。

「おかえりなさいジン様。如何でしたか?」

シルファの優しい声。

「しかし連れ返ってもこれず、そのボロボロの身なりを見ると負けたな?」

ホセの挑発的な態度。

ジンは2人に返事もせずに部屋を出た。

「ジン様おかえりなさい」

「今回の旅は如何でしたか?」

団員達がジンを見つける旅に声を掛ける。

ジンは無反応だが、心なしか口元が緩んでいるようにも見えた。

「あ、ジン様。ジンさまーっ!」

後ろから聞こえたリュックの声にジンが振り返る。

リュックの手には一杯のご馳走が。

「これ料理長がジン様に持っていけって。

戦いの後はお腹空きますもんね。おかわりもありますから、好きなだけ食べてくださいね」

にっこりと笑ったリュックの面影にテレサが重なった。

『あなたの翼はあなた1人が羽ばたく為だけにあるのか……』

ジンは窓から半分に欠けた月を見てぼそりと呟く。

「ちぇっ、負けたよ。


ローゼン・シュトック」