間合いを詰めたジンの回し蹴り、ブリュンは深紅の鎧で受け止め、凪ぎ払うように剣を振るう。

切っ先はジンの伸びた前髪をかすめる。

切られた髪が数本、キラリと舞い落ちていく。

「面白いなあんた達。

是非ともうちに欲しいくらいだよ」

ジンは左の前髪を掻き分けて、頬に刻まれたタトゥーを見せた。

「あれは……廃陸の旅団のマーク」

「廃陸の旅団?つまりは賊だろう!!

貴様の様な因子がいるから世界が混乱する!人々が不幸になる!

貴様等など居なくなれば良い!!!」

「――ブリュンヒルデ!!」


テレサの叫び。

ブリュンは俯いたままに言う。

「テレサ、君は純粋過ぎる。

全ての人間が必ずしも平和を望んでいるわけではないんだ」

「では彼は何を望んでいると言うの?


ねぇ、あなた。
あなたはいったい何を望みそこ(廃陸の旅団)にいるのですか?」

ジンはボリボリと頭をかく。

「オレの望み?

面白いことを聞くねお姉さん。そんなの決まってるっしょ?」

ジンは一瞬にしてテレサの背後に移動する。

「――しまっ」

ブリュンが気付いた時にはもうジンはテレサの後ろで鎖を手にしていた。

チラリとブリュンを見たジンが無機質に笑う。