片手剣に炎を纏わせたブリュンが海蛇に切り掛かる。

当てる為の小さく速い振りではなく、明らかに海蛇を切り裂く為の渾身の一撃。

オーデイルの毒により僅かばかり動きが鈍っていた海蛇は、それをまともに受けてしまう。

「まずは3分の1」

振り抜いた剣。

数秒の誤差の後、切り口が発火し燃え上がる。

「グギャァァァァァァアッ」

海蛇の分厚い胴体の3分の1ほどが切り離されていた。

ブリュンは一度間合いを取って、全神経を集中させる。

極限まで高められたフォースが、剣に向かい集まっていく。

その凄まじい迫力には海蛇ですら動きが一瞬止まるほどであった。

「1分もかからなかったな。

あと一撃で終わりにする」

剣に纏わせた炎で急激に海水が熱され、海流が生まれようとしていた。

その海流に引き寄せられ、海蛇の身体がジリジリと吸い込まれていく。

「さぁ唱えて――テレサ」

ブリュンの呼び掛けにテレサは笑い、フォースを練る。

「いくわよブリュン『鳳凰閃』!!!」


崩れ落ちた山にさえも、一瞬にして風穴を開けた術。

ブリュン最強の力が引き寄せられた海蛇を捕える。