放り出された勢いのまま地面を滑るジン。

ようやく止まって、勢い良く立ち上がると、知らない場所に出ていた。

「……どこだ此処?」

ジンが辺りを見渡すが何もない。

そして弾き飛ばされた場所にはまだ闇が蠢いていた。

「――様。――ジン様。聞こえますか?」

「この声は、シルファ?」

ジンは警戒しながらも闇に近づいていく。

「無事海底都市に到着しましたでしょうか?」

「――ここは、海底都市だったのか」

「はい。私の使い魔であるシグマの能力の一つで、ジン様を海底都市へと送りました。

時差の都合で海底都市はそろそろ夜明けになります。噂の海蛇が活発に動くのは早朝と聞いております。

くれぐれも注意なさってくださいね」

メッセージを残して闇は消えていった。

「はぁ、世の中にはすげぇ術があるもんだな……」

シルファの特殊な能力に感心するジン。

すると、遠くで光が浮かび上がる。

真っ青な海が照らされ、今まで見えていなかった景色が段々と浮かび上がってくる。