そんな頃、当の本人は甲板の上で空を眺めていた。 鳥類が死滅してから幾世紀経ち、人々の頭から翼が無くなった。 天には厄災のみがあり、天を目指すことは禁忌とされている。 ジンは右手を太陽にかざす。 指と指との隙間から日差しが零れる。 「…………腹、減った」