金烏玉兎



静綺は微笑して、あたしは聖から逃げるように台所に行く。

「…先輩、何作ろうとしてるんですか?」

お湯を沸かしている先輩が、こっちを向いた。

「…パスタを。」

「駄目ですよ!和食以外は聖が食べませんから。」

「食べないって…。」


聖はとんだ我が儘。

いつか、私が作った麻婆茄子を見て「そんな胃がもたれるモノ食べられっか!」と激怒した。

まるで頑固親父…。

思い出し笑いをしていると、先輩も笑っている。

「いや、オーカちゃん。我が儘って言う割には慣れっ子な感じがする。」