金烏玉兎



別に困ることじゃない。

でも、聖が関わってくると余計なことが起きない。


「桜嘉、危ないよ。」


百合ちゃんに腕を引かれて、歩道に寄る。
すぐ横を車が追い抜いていった。


「…ありがとう。」

「危うく轢かれるところだったよ。」

「ねー。」


危ない危ない。

横断歩道を渡って、思い出す。


「一回、交通事故にあったことある。」


そう言うと、百合ちゃんは「生きてて良かったね。」と言った。