後日…


 アイリスは1人、雅治のマンションを訪れた。


 いつもならウキウキ気分で自宅にお邪魔するけど、今夜は全くの正反対の気分である。


 彼氏のウチに上がり込むのも、今夜が最後かも。


 仲間を呼んで飲み会をする時に使うリビング。


 アイリスはやや緊張した赴きでソファーに座った。


「飲む?」


 ボトル缶入りの冷たいコーヒーを差し出す雅治。


「ありがとう」


 アイリスは礼を言って、缶を受け取った。


 栓を開けてグイッと飲み始める。


 暑さで喉が渇いていたからありがたい。


 さすがのアイリスも…


 別の部屋から黒沼ヘレナさんが見ているなんて、気づく由もなかった。


 実は今、黒沼さんが遊びに来ているのだ。


 浮気相手のコが来ると聞いて、黒沼さんは身を隠していた。


 雅治は向かいの席に腰を下ろして、自らの髪の毛を手が掻き始める。


 そして、ボトル缶の栓を開けて一気に飲み始めた。