キミへ


「アンタ、涙もろすぎ」

「だってぇ…うぅ」

「ははっ、もう…。千嘉のおかげで涙が引っ込んだよ」

「何でだよぉ……」



自分の中で、制御してるのかもね…。泣くことを。



『次が体育祭ラストの種目です』



あ…、もう終わりなんだ…。

楽しい時間なんて、あっという間なんだなぁ



『最後を飾る種目は…―――女子騎馬戦です』



………わぁお。あたしの涙と感動を返せー



「お疲れー!! 頑張ったね怜衣くん達!」

「おい雅!! 猿パワーってなんだよっ!!」

「あり? 聞こえちゃってた?」

「あんな大声で叫ばれたら誰でも聞こえるけど?」



未だにクスクスと笑う雅を、あたしは何故か微笑ましくみていた。