泣いてるクセに、そればっかり気になってるあたし。
『旗を取ったのは…――――』
溜めに溜め込む解説者に少しイラッときた。
『2−3の、黒田怜衣だー――!!!』
そして、同時に歓声が巻き起こった。
怜衣は取った旗を高々と掲げていた。
「すごい…」
「うん…」
「こんな最高な体育祭、他じゃ拝めないよ」
開いた口が塞がらないとはまさにこのこと。
いつもと違う男子の気迫と、勇ましさ。
「はは…、泣くくらい感動しちゃったよ…」
「青春の1ページだね……うぅ」
「………」
青春の1ページだね、の後にあたしが何か言うのは少し気が引けた。
しかも思いっきり号泣だしね、千嘉。

